金融庁2000万円赤字報告

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こんにちは、世の中の出来事に関心があるGTです。今回は話題になっている金融庁の報告書とそれに対する野党の批判、そして政府・与党の対応について意見を述べようと思います。

経緯 

ことの経緯をざっと説明すると以下のようになります。

金融庁が報告書を発表しました。65歳以上の夫婦が95歳まで生活する場合年金だけでは足りず、5万円の赤字が毎月出る。そのため老後資金として1300万円から2000万円を用意する必要があるというものでした。

5万円×12か月=60万円です。1年で60万円必要ということで、それが30年分だと60万円×30年=1800万円になります。ざっと2000万円ですね。

それに対して立憲民主党の辻本氏が主張するのは、年金は安心だといって安心詐欺だ、というもの。

立憲民主党の辻元清美国対委員長は11日、夫婦の老後資金として「30年間で約2000万円が必要」とした金融庁の試算について「100年安心詐欺だ」と批判した。国会内で記者団に答えた。

引用元 毎日新聞:2000万円試算は「100年安心詐欺」 立憲・辻元氏

『国民に対し、老後は年金だけでは暮らせないから、投資も含め2千万円かかるぞ、と。政治の責任を放棄したと言わざるを得ない。また、それに対して麻生さん(太郎財務相)の(閣議後会見での)「人生100年になったんだろ」と。だから仕方ないと言いたいのでしょうが、まず謝れよ国民に。申し訳ないと。』

引用元 朝日新聞DIGITAL「年金で暮らせない。まず謝れよ」立憲・辻元清美氏

対して政府・与党は夏の参議院議員選挙の影響を考慮してでしょう、麻生大臣が報告書を受け取らないと発言しました。

麻生氏は報告書が公表された直後の四日時点では、平均寿命が延びていることを踏まえ「年金(収入)にプラスして、いろいろなことを考えないといけない」と内容を評価していた。しかし、野党が年金制度の持続性と絡めて批判を展開したため、七日になって「(年金収入を上回る支出を)赤字と表現したのは不適切だった」と釈明。さらに、夏の参院選への影響を懸念する与党から撤回を求められたのを受け、十一日の記者会見で「正式な報告書としては受け取らない」と表明した。

引用元 東京新聞:「不受理決めねば不安広がる」 麻生氏「老後2000万円」で説明

このような経緯です。みなさんはどう思いましたか。

報告自体は評価

私が思うに、まず金融庁の報告自体を否定することは必要ありません。数字が根拠無しのイイカゲンなものであれば、それは税金を無駄に使ったことになります。しかしそうではなく、内容は現実のものです。国民や政府・与党にとって耳の痛い内容であれ、事実を否定してはいけません。

逆にその事実を基にして、どう制度を改めていくのか議論していくことが大切です。

そもそも、団塊の世代など現在の年金生活者は第2次ベビーブーム世代をはじめとして多くの働き盛りの人に支えられて年金を受け取っています。少子高齢社会を迎えている日本にとって、この後年金生活者が多くなり、それに対してそれを支える若者が少なくなっていくことは既に分かっていることです。

だからこそ年金制度が破綻しないように物価スライド制度を取り入れたりしているわけです。この物価スライド制度は、物価の上昇率に合わせて年金受給額が増えていくものではなく、物価上昇率より低く受給額を増やすものです。後の世代になればなるほど実質的な受給額が減るよう設定されているわけですね。

現在の年金受給者は物価スライドにより実質的な年金受給額が減る前に受け取れる世代なのです。別の言い方をすれば、優遇されたまま逃げ切れる世代です。

現受給者は、現在働いている世代やこれから社会人となって働いていく世代に比べて優遇されています。だからこそその分を早急にカットすべきだという議論もあってしかるべきです。

その議論の基となる資料・報告は評価されなければなりません。特に少子高齢社会が進み、平均寿命が延びていく中で状況の変化が起こっているわけですから、状況に合わせた制度改正への議論を行うべきです。


「安心詐欺だ」という主張は勉強不足

今回は辻本氏が、年金について安心詐欺だ、などと言っていましたね。これはもう勉強不足です。そんなわかっていないことを言う議員に税金使うのは本当に無駄というものです。なぜかといえば、年金制度自体がもともと年金の受給だけで生活を保障するものではないからです。

年金の受給額も一人一人で違います。大会社で高給取りだった人は支払った金額が大きく、その分会社がその人のために支払った会社負担分の金額も大きいです。ということは、そういう人は年金受給額が平均額より多くなり、月額20万円以上受給している人も居ます。

一方で自営業の方は国民年金に加入しており、その場合は年金の受給額が月額6万5000円程度になるケースがあります。生活保護を受けた場合の一か月の金額が都市部一人世帯で14万円弱くらいですから、6万5000円ではその金額に達していません。

ということは自営業の方は、毎月5万円足りないのではないし、95歳までの合計で2000万円足りないのではありません。毎月10万円、トータル4000万円足りないかもしれませんし、もっとかもしれません。状況に合わせて生活水準を調節するでしょうから、単純に足し算引き算で不足金額が決まるものでもありません。

いずれにせよ年金制度は、年金だけで安心して生活できるようにするためのものでは無いのです。もちろん、政府・与党もそのような制度であることは言っておりません。それを安心詐欺だなどということは間違いです。

報告書の5万円赤字の意味

元々の報告書の赤字の意味も、考える必要があります。

全員が全く資産が無く働きもせず年金だけで暮らしているわけではありません。旅行に行ったり外食をする余裕がある人も居れば、そうではない人も居ます。働いていたり、資産が多くありお金に余裕がある人は年金でもらえる額以上にお金を使うことが出来ます。そういう人は年金収入のみと比べるなら確かに赤字になります。しかし、年金収入以上に支出額を多く取れる人が、年金収入+5万円の支出をしても問題ありません。

元々の制度として年金だけで安心して生活できるというものではありませんし、問題が無く年金収入以上の支出により赤字を出しているケースもあるのです。

それを安心詐欺などと言うのは勉強不足ですが、本当はそういうこともわかっているのに、政府批判のための道具にしたいからそう言うのでしょうね。政争の具にするのは本当にダメなことです。
辻本氏よ、年金で暮らすと赤字が出てそれが詐欺だって言うんなら、あなたうまくやれる案出しなさい。出来もしないクセに。批判ばかりで何もしないのは腹が立ちます。それをあなたが謝りなさい(受給者を支える現役世代が少ない社会であり、財政赤字を抱えているのですからそもそも全員が年金だけで暮らしていくのは無理。国民もそれはわかっています)。

するべきは今後に向けての行動

いずれにせよ、平均寿命の延びという状況変化があり、毎月5万円ずつ足りないというのは実際に出てきた数字です。年金保険料を上げるべきか受給額を下げるのか、受給開始年齢を遅くするのを前倒しにして実施すべきとか、消費税増税は無しにして経済規模をより大きくすることで保険料収支バランスを取りにいくべきだとか、議論して制度を変えていくべきです。そこに政治家の行動が行きません。それが問題です。

政府・与党も報告書を受け付けないなどと言わず、事実は事実だ、と言えば良いです。これを元にどうすべきか与野党の枠を超えて議論しましょう、でも野党は政争の道具にしているだけ、と反論していけばいいのです。それを参議院議員選挙のことを考えてのことでしょう。大臣の発言にもあった不受理すること=この問題から逃げることです。政府・与党もそれではいけませんね。

結論

報告書自体は評価。

政治家はこの問題から逃げてはいけない。

こういうものは政争の道具にしていはいけない。

将来の受給者との公平性を確保するために現在の優遇状況を即見直すべき。

消費税は10%に上げない。あげて景気を悪くしても仕方が無い。増税しないで経済規模が大きくなれば税収も増え、保険料収入も上がる方向である。

最近のニュースを見ていていくつか感じたことがありましたので、思うがままに物申してみました。みなさんがいかが思いましたか。ではまた!

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